Googleは期限切れドメインのリンクを評価するのか – Danny Sullivanが語る

期限切れドメインとSEOの関係について、このブログでも何度か取り上げたことがあります。

期限切れしたドメインを取得することで、ドメインの運用暦、いわゆる「Domain Age(ドメイン・エイジ)」やそのドメインのサイトが得ていた被リンクを、そのままいただいてしまおうという狙いがあります。

Googleは、ドメインの所有者が変わったときにはそれまでの履歴をリセットして、リンクも評価しなくなるとたびたびコメントしてます。

しかし、必ずしも当てはまるわけではなく、所有者が変わっても以前の資産を引き継いでいるとしか考えられないケースがあることも事実です。

また、企業の吸収合併、社名変更などの正当な理由でドメイン所有者が変わることもあります。
そんな場合にドメインの履歴や獲得してきたリンクをゼロにしてしまうのは、道理にかなっていません。

期限切れドメインの取得、ドメイン所有者の変更、これらはどんな状況のときにドメイン・エイジやバックリンクを引き継ぐ、あるいは失ってしまうのでしょうか?

僕が創設したSphinn Japanの本家、Sphinnのウェブマスターでもあり、Search Engine LandのEditor in Chiefでもある、世界一有名なSEOエキスパートのDanny Sallivan(ダニー・サリバン)氏が、”Do Links From Expired Domains Count With Google?“という記事で、期限切れしたドメインからのリンクをGoogleがどのように扱うのかを解説しました。

Dannyは友だち(と思い込んでいる(笑))なので、コンタクトを取って、僕のブログでの日本語訳掲載を許可してもらいました。

Thanks, Danny!

全訳は骨が折れるので、一部を訳しつつ、ポイントを抑えてDannyの説明をお伝えします。

ます、ドメインの所有者変更に対するGoogleのMatt Cutts(マット・カッツ)氏のコメントです。

There are some domain transfers ( e.g. genuine purchases of companies) where it can make perfect sense for links to transfer. But at the same time it wouldn’t make sense to transfer the links from an expired or effectively expired domain, for example. Google (and probably all search engines) tries to handle links appropriately for domain transfers.


“純粋な企業買収のように、リンクの移し変えが完全に正当なドメイン移転がある。しかし、と同時に、期限切れまたは事実上期限切れしたドメインからのリンクを移し変えるのは、理にかなっていない。Google(と、おそらくすべてのサーチエンジン)は、ドメインの移管を適切に処理しようとしている。”

The sort of stuff our systems would be designed to detect would be things like someone trying to buy expired domains or buying domains just for links.

“リンクのためだけに、期限切れドメインを買おうとしたり、ドメインを買っているのを検出するように設計したシステムを、僕らは持っているだろう。”
※かなり意訳してます

以上を踏まえた上で、Dannyが考えるドメイン所有者変更とドメイン資産の移転を、パターン別に見てみましょう。

1. 期限切れドメイン購入:信用の引継ぎは期待できない
直接譲渡してもらうのではなく、期限切れして誰でも取得できる状態になったドメインを再取得した場合は、Matt Cutts氏の発言によれば、バックリンクが持つ信用は移らないでしょう。
リンク価値は無効化されるということです。

2. ドメインを購入してリダイレクトする:おそらく信用は移らない
(まだ運用中の)いいドメインを見つけてそれを購入した後、集まったリンクを得るために別のサイトにリダイレクトした場合、ドメインが取得された日とリダイレクトが設定された日から近いことから、Googleが気付きそうなので、リンクはカウントされなくなりそうです。

一方、お金を払ってドメインを買うものの、登録情報は元の持ち主のままにしておいて、コンテンツを新しくしたりサーバーを変えた場合は、うまくいくかもしれません。
とはいえ、あるサイトが別のサイトに完全に向くおかしさにGoogleが気付いて、リンクをカウントしなくなるかもしれません。

3. ドメインを購入してそのまま運用する:信用は継続されそう
サイトを購入するものの、そこで提供されていたサービスをそのまま続けた場合は、ドメイン所有者が変更になっても、リンクに対する信用は損なわれることなく、それまでと同じように評価される可能性が高そうです。

4. 企業買収でドメインを購入する:信用は継続されそう
企業の買収で移管した場合は、リンクの信用は続きそうです。
ただ、ハッキリしないのはGoogleがどうやって正規の移管かどうかを判断するかで、Googleは見分け方を共有することはしないでしょう。

以上が、Dannyが推測するドメイン所有者の変更パターンによるリンクの信用継続の有無です。

よくMatt Cuttsは”We reserve the right…”という表現をします。
「・・・する権利を確保している」が直訳で、やるかどうかは自分たちがいつでも自由に判断できるという意味です。

上の1は、グレー(ブラック?)なSEOとして利用されています。
本来ならば期限切れして、以前の所有者とはまったく関係のない別の持ち主のサイトになっているのですから、ゼロからのスタートになって然るべきです。
ところが、効果をあげているのが現実です。

しかし、Googleに見つかった瞬間にすべてがリセットされることは十分に考えられます。
目視で審査しているのか、システムで自動的に審査しているのか、その両方なのかは分かりませんが、期限切れドメインの強さがいつまでも続くと、過信はしないほうが安全でしょう。

最後にDannyは、ドメインの登録の長さ(過去の年数ではなく、あと何年登録するかの契約年数)が、検索順位に影響するかどうかについて、Matt Cuttsのコメントを引用して補足しています。

ドメインの契約年数は、ランキングのスコアには完全に無関係です。
1年契約でも、2年契約でも、10年契約でも、そんなことにドメインの評価は左右されません。
長期契約はSEOに有利というのは、ドメイン販売業者のセールストークなのでだまされないでください。