スマホ向けページに設置するPC向けページへの切り替えボタン・リンクは本当に必要か?

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Google+のSEO系コミュニティで見かけた、スマートフォン向けサイト構成に関する面白いやりとりと、それと関連する、僕が最近学んだ発見をこの記事では紹介します。

スマートフォン

PCサイトのトップページに向けたスマホ向けサイトでの切り替えリンク

Google+のあるSEOコミュニティに次のような質問が投稿されました。

モバイル向けページにはすべて、PC向けページに切り替えるリンクを設置している。
そのリンクをクリックすると、対応するモバイル向けページではなくPC向けサイトのトップページにユーザーは連れて行かれる。

同じように、PC向けページに設置しているモバイル向けページへのリンクをクリックすると、モバイル向けサイトのトップページに連れて行かれる。

この構成はSEOに何か悪い影響を与えるだろうか?

なお、PCとモバイルで同じURLを使っていて、Vary HTTPヘッダーを返すように設定してある。

GoogleのJohn Mueller(ジョン・ミューラー)氏は次のようにコメントを書き込みます。

その構成は、Googlebotというよりもユーザーをきっと混乱させるんじゃないだろうか?(あなたの場合、Googlebotに対する、モバイル向けページとPC向けページの関連付けはできている)。

クリックを追跡して、ユーザーがサイトにとどまっているか前のページに戻っているか調べてみるといい。

モバイル向けサイトとPC向けサイトを異なるURLで構成しているとき、PC向けページにアクセスしてきたユーザーをモバイル向けサイトのトップページにリダイレクトすることは、間違ったリダイレクト (Farulty Redirect) としてアルゴリズムによってモバイル検索での評価が下がる原因になります(評価を下げられるのは、検索ユーザーのユーザー体験を損ねるから)。

米Googleでは、間違ったリダイレクトであることが検索結果に表示されるし、ウェブマスターツールに警告が届くこともあります。

ところが、今回質問に挙がったのは間違ったリダイレクトではありません。

スマホ向けとPC向けを同じURLで構成していて、ユーザーが、PC向けページを表示させるリンクをスマホ向けページでクリックしたときに、どのページにいようがPC向けのトップページに行ってしまうのです。
つまり、すべてがPC向けのトップページに向けたリンクになっているということですね。

リダイレクトではないのでアルゴリズム的には問題視されないでしょう。

ですが、ミューラー氏がいうようにユーザーは戸惑いそうです。
僕なら「何だこのサイト?」と印象を悪くすると思います。

SEOの視点から考える問題ではなく、ユーザービリティやユーザーエクスペリエンスの視点から考えたい問題ですね。

「PCサイトに切り替え」リンクがすべてトップページに向いているなんていう、こんなおかしな構成をしているサイトは今までに見たことはありませんが、もし万が一あなたが採用しているとしたらユーザー体験を低下させていないかを必ず調べましょう。

スマホ向けサイトにPCサイトへのリンクは必要か?

スマートフォンからであってもPC向けページを見たいユーザーが存在するかもしれません。
したがって、スマホ向けサイトにはPC向けサイトに切り替えるリンクを設置することが推奨されています。
僕もいつもそう言っているし、Googleもそのようにアドバイスしています。

でも、スマホ向けサイトにPCサイトへのリンクやボタンは本当に必要なのでしょうか?

先日参加したCSS Nite LP36で、「売れるスマホ・ランディングページ」をテーマにしたセッションを講演した滝井さんは、少なくともコンバージョンを目的とするページにおいては、「必要ない」と断言していました。

滝井さんが不要だという主な理由は、「PCサイトへの誘導リンクがあると(コンバージョンに繋がる)アクションを起こす覚悟が決まらない」からです。
コンバージョンを邪魔する可能性があるということです。

PCサイトに慣れていてPCサイトを好むスマホユーザーが存在したとしても、「PCサイトを見よう」とまったく考えさせないような執念と情熱をもってスマホ向けサイトを作らなければならないという思想がその裏にあります。

僕からしたら、まさに目からウロコの衝撃的な発言です。

でもたしかにそうかもしれません。
PCサイトに切り替えてもいいと考えるのは、スマホサイトに絶対的な自信を持てないことの裏返しかもしれませんね。

もっとも滝井さんは、あらゆるページにおけるPC向けへの切り替えを否定しているわけではありません。
情報提供を目的としたコンテンツページやコンバージョンを目的としていない会社のオフィシャルサイトなどは設置しても構わないだろうとも補足しています。

あくまでも、コンバージョン達成をゴールにしているページで、ということです。
購入プロセスのショッピングカートページで、グローバルメニューやサイドバーといったカゴ落ちの要因になりうる要素を撤去することと共通点がありそうですね。

まとめ

さて、出だしからずいぶん違った方向に話が展開してしまいました。
僕がこの記事で伝えたかったことは次の3つです。

  • 間違ったリダイレクトはSEO的にもUX的にもよろしくない
  • トップページに向けたPC向けページへの切り替えリンク・ボタンは、SEO的には問題ないとしてもUX的には問題あり
  • 特にコンバージョンを目的としたページでは、切り替えリンク・ボタンは不要(スマホサイトでコンバージョンさせる覚悟を持つことが大切!)